疲れが取れない、イライラする、集中力が続かない。。。
はっきりした病気じゃなくても、いまいち体調が優れない方は必読の一冊です。
本書では疲れの原因を「文明病」であるとし、「『悪いのは自分だ』という考え方を採用しません」。
「文明病」とは、近代社会の変化によって引き起こされる、現代に特有の病気や症状を意味します
わたしたちの多くが狩猟民族時代に適応していた遺伝子が現代の環境に適用できず、結果として身体や精神に異常をきたしてしまっています。遺伝子的な進化と文明の発達のミスマッチですね。
では狩猟民族の生活様式に戻らなければ健康な身体は手に入らないのか?
そんなことはありません。
この本には身体と心それぞれの「体調」を最高にするヒントが満載です。
著者について
本書「最高の体調」がわかりやすくかつ強い説得力をもっているのは、著者の鈴木祐氏の
10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアをテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。
というバックグラウンドと、鈴木氏自身も本書の内容を実践して健康体を手に入れている、という事実のせいでしょう。
なぜ現代人の体調が優れないのか、どうすれば改善するのか、については都度、研究論文を根拠に説明してくれており納得せざるを得ません。
また、本書で提案されている「対応策」は難しいことではなく、読んだその日からできることばかり。
すでに「健康に良いこと」として聞いたことがある内容もあるかもしれませんが、「なぜそれが身体(あるいは心に)にいいのか」を理解しておくことは「体調改善のために実践し続ける」モチベーションとして知っておくべきことでしょう。
刺さったポイント
本書で個人的に刺さったかつおすすめポイントはこちら。
- 体調が優れない原因は「炎症」と「不安」
- 「自然」と「友人」の重要性
- マインドフルネスは日常的なものである
1つずつお伝えしていきます。
体調が優れない原因は「炎症」と「不安」
「炎症」は身体の、「不安」は心の不調に影響しています。炎症や不安は古代にもあったが現代のそれとは種類が違います。
人間は遺伝子的にかつての炎症や不安には対応できていたが、現代のそれには適応が追いついていないことが不調の原因としています。
本書をわかりやすくしているのは、不調の原因を「身体」と「心」にわけ
、さらに解決策を深堀りしているところです。
炎症については
- 腸
- 環境
- ストレス
不安は
- 価値
- 死
- 遊び
をテーマに、現代の状況と対応策を解説してくれています。
細かく分類されたおかげで、改善案を実践する際にできるところからできますし、いま自分がしていることが何に効いているのか(なんのためにやっているのか)わかるので、「本に書いてあったからなんとなくやっている」ということがありません。
「自然」と「友人」の重要性
なんとなく「自然」や「友人」が人間にとって大切な存在であることはわかります。
が、それぞれの体調への影響を科学的に説明されたことがある人は多くないでしょう。
人はコミュニケーションが苦手である
意外だったのは「友人」(人間関係)について
それなのに、私たちの頭には外向きのコミュニケーション回路が内蔵されていないため、本来は内向き用に作られたスキルセットだけで赤の他人と付き合っていかねばならない
という事実。
SNSを中心としたコミュニケーションツールが発展し、また多くの人がそれを楽しんでいる状況から、「人間は外向きな生物である」と思っていましたが、実際は逆でした。
むしろ本質的には苦手なことを日常的に行う(行わざるを得ない)ことで苦しんでいると。
なので、少数との深い人間関係を作るべしと説いていますが、それが苦手な人も安心してください。親密な人間関係を築くためのポイントも書かれています。
とにかく自然
身体にも心にも自然はとにかく必要でありますが、それはほんものの自然でなくても(スタートとしては)OKとのこと。
たとえば自然の映像や、川や風の音を聞くだけでも効果があります。もちろん科学的な根拠ありです。
自然との接触は身体(炎症)にも心(不安)にも影響します。
しかも上述の通りデジタルな情報でもOKとなれば、やらない理由はないですね。もちろんほんものの自然に触れる方がベターです。
マインドフルネスは日常的なものである
本書には「マインドフルネス」とは
従来の心理療法に曹洞宗で行われる座禅の要素を組み込み、仏教でいう「念」の概念を「マインドフルネス」と訳しました
とあります。ちなみに本書では「不安」への対応パートに書かれてます。
さらに
ば、マインドフルネスな意識とは「その時の感情を自覚している」「いまの状況に集中できる」「つねに自覚的に作業を行う」といった状態を意味します
(中略)
マインドフルネスとは心を無にするような困難に挑むことではなく、たんなるリラックスや幸福感の言い換えでもなく、スピリチュアルや宗教的な至高体験でもない、ごく日常的な意識のあり方です
としており、むやみに瞑想に打ち込む前にマインドフルネスの感覚を掴むことが先であるとしています。
具体的に「マインドフルネス(自己観察)を掴む感覚」の理解を深める方法も書かれていますが、その先にある
日常のあらゆる状況がマインドフルネスのトレーニング場に変わります
は目からウロコでした。
上述の「いまの状況に集中できる」とは、言い換えれば目の前のことのみに集中するということであり、皿洗いも雑巾がけも歯磨きもすべてがマインドフルネスのトレーニングになるということです。
本書では「テレビやスマホを見ずに食事をする」ことを瞑想のトレーニングに挙げています。
「スマホなしでの食事」を実践してみましたが、たしかにスマホやテレビがないと食事に集中せざるを得ず、必然的に自分の行動に集中する形となりました。
本格的な瞑想経験はありませんが、トレーニングの場としては最適であると実感しています。
瞑想の効果についてもガッツリ科学的なデータが示されているので、ぜひ本書を確認してみてください。スマホなしで食事したくなるはずです。
まとめ
体調不良の原因は「文明病」であり、その原因も対策も科学的にわかっています。
もしいまの体調が「最高」でないなら、ぜひ本書を手に取ることをおすすめします。
なんとなくたくさん寝る、なんとなく身体によさそうなものを食べる、なんとなく運動してみる、のもいいですが、本書を読むとやる気がぜんぜん変わるはずです。