書評【脳を鍛えるには運動しかない!】:5分で読めるまとめ

書評:脳を鍛えるには運動しかない! LIFE

「頭が良くなりたい」というのは誰しも願うところです。

学生なら成績を上げたい、社会人なら資格取得のために、仕事をもっと効率的に行うために、あるいはコミュニケーションを円滑にするために、「もっと頭がよかったら」と思いますよね。

本書では「運動することで脳が鍛えられる」=「脳を効率的に使える」ことを科学的に説明してくれています。

結論から言えば「脳を鍛えるには有酸素運動しなさい」ということなんで、本を読むのが面倒ならとにかく有酸素運動すれば脳を活性化できます。

ですが、本書で言う「脳を鍛える」は学習効率を上げることにとどまりません。

学習効率の他に

  • ストレス
  • 不安
  • うつ
  • 注意欠陥障害
  • 依存症
  • ホルモンの変化(特に女性)
  • 加齢

などに運動が効果的であることが書かれており、ほとんどの方が上記のいずれかは気になるところかと思います。

しかも、本書で提案されている運動は、誰もができるものばかり。

ちなみに著者 ジョンJ. レイティ氏は

  • 医学博士
  • ハーバード大学医学部臨床精神医学准教授
  • マサチューセッツ州ケンブリッジで開業医としても活躍
  • 1998年から毎年、同業者の選出による全米ベスト・ドクターのひとりに選ばれ続ける
  • 定期的な有酸素運動の普及に貢献したとして、非営利団体PE4Lifeより最優秀支援賞を受賞

という説得力の塊のような経歴。

専門用語が多くページ数もあるので読みやすい本ではありませんが、「読んでよかった」一冊です。

刺さったポイント

  • 強制された運動は自発的な運動ほどの効果が出ない
  • 年を取るにつれて減る成長因子は運動によって補える
  • 運動後は思考と分析に取り組むチャンス
  • 有酸素運動と複雑な動きはそれぞれ別の有益な効果がある
  • 運動好きか否かは遺伝子に62%由来する

強制された運動は自発的な運動ほどの効果が出ない

著者は運動することを強く勧めているものの、「運動することを義務と思ってほしくない」とも書いています。

ラットの実験により「強制された運動では自発的な運動ほどの効果がでないことがわかっている」

運動に限らず誰かにやらされる作業は苦痛ですよね。わたしは中学時代に野球をしていましたが、ほとんど楽しいと思ったことはありません。

楽しくないものは続きませんし、効果が出にくいならなおさらです。

個人的には著者の懸念は杞憂です。本書を読むと「運動しなくちゃいけないな」と思うと同時に「運動したい」と思うはずなので。

年を取るにつれて減る成長因子などは運動によって補える

学習に必要な道具であるニューロンは、ニューロン生成に必要な栄養因子と成長因子の生産量が加齢によって減少することで少なくなっていきます。

高齢でなくてもストレスにさらされたり、うつ状態が長引いたりしても同様の状態になってしまうとか。

でも安心してください。

運動すればニューロンや栄養因子、成長因子は増えます。

つまり

運動することでうつやストレスといった状況はコントロールできるはず

なんです。

運動したくなりますよね。

運動後は思考と分析に取り組むチャンス

身体を動かした後は疲れて勉強や仕事どころではない、と思いがちですが、その考えは改めないといけません。

たしかに激しい運動を「しながら」何かを考えることは難しいですが、運動を終えたときこそ

鋭い思考と複雑な分析を要する課題に取り組む絶好のチャンス

です。

これは運動の有無で認識の柔軟性(例:新聞の使い方を列挙する)に変化があるかの研究によってわかっています。

午後に重要なブレーンストーミングの会議が控えているのなら、昼休みに少々走り込んでおくのが賢い選択と言えるだろう

とまで書かれてます。

会社近くのジムを契約したくなりますね。

有酸素運動と複雑な動きはそれぞれ別の有益な効果がある

ウォーキングやジョギングでも効果がありますが、複雑な動きを伴う運動はさらに効果的です。

有酸素運動が神経伝達物質を増やし、成長因子を送り込む新しい血管を作り、新しい細胞を生み出す一方で、複雑な動きはネットワークを強く広くして、それらをうまく使えるようにする

驚いたのは、運動で作られたネットワークは思考にも使われるところ。

例として「ピアノを習っている子どもが算数を習得しやすい」ことを上げています。

スポーツ経験者を好む企業が多いのは実は理にかなっていたんですね。礼儀とか上下関係を鍛えられてるとかいうことよりももっと重要な部分が科学的に証明されていました。

運動好きか否かは遺伝子に62%由来する

双子を対象に身体活動のレベルを比較した結果、運動の好き嫌いは62%が遺伝に由来するとか。

ですが、もしいま運動が嫌いな方もあきらめる必要はありません。

ほんの数週間でひとつの習慣が根づく。運動は自分を鍛え直す手段となり、それによって遺伝子の束縛を断ち切ることができる

と書かれています。運動することで増えるドーパミンと、ニューロンの影響で、さらに運動しようという動機が芽生えてきます。

運動が嫌いでも、とにかく続けていると運動するモチベーションが湧いてくるので、最初のうちはきついかもしれませんがそれを乗り越えれば遺伝子にも勝てます。

まとめ

運動は身体を鍛えるだけでなく脳を鍛える最高の手段であり、しかもその効果は学習能力の向上にとどまりません。

わたしは「脳を鍛えるには運動しかない!」を読むまで有酸素運動はほぼしておらず、ジムではウェイトトレーニングのみでしたが、この本を読んだ当日から有酸素運動を取り入れました。

ジムの外でも、自転車もなるべく乗らず歩く時間を増やしています。

今も将来も、ベストな自分でいたい方は必読です。

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