副業がふつうになりつつありますが、「自分もできるのか」と不安になりますよね。
「大人の週末起業」はタイトル通り”週末でできる=本業ありき”で行うビジネスについて提案する1冊です。
もちろん”週末でできる”=”適当にやる”ではありません。限られた時間だからこそ真剣にビジネスしなければなりません。
週末起業に特別なスキルは不要です。本業に関連するビジネスはもちろん、趣味でさえも考え方次第で、しかも若くなくても十分にビジネスになることを教えてくれます。
メインターゲットはアラフィフ世代のようですが、本書に書かれている考え方は年代問わず参考になります。大人世代が「もっと若いときに知っていたら」と思う部分もあるので、20代の方にもおすすめできます。
「大人の週末起業」の概要
「大人の・・・」とあるように、年をとっても起業できる、というよりむしろ起業すべき、と提案しています。
なぜ週末起業か
平均寿命が伸び、年金に頼れない期間が長くなる中で、自分で稼ぐ力がますます重要になってきます。
とはいえ「(定年前に)会社を辞めて起業する」ことはリスクが高い。会社勤めしているときこそ、会社(安定収入)とは別の収入源を作るべきとしています。
しかもその収入源は「自分で作る」べきであり、また「自分で作れる」と。
大人が起業するメリット・デメリット
自分でビジネスする際、本業や趣味で培った経験が活きてきます。一方で、歳をとったがゆえのデメリットも考えないといけません。
若いときの「定年後に時間ができたら」という考え方がいかに危険であるか教えてくれます。若いときは年をとったときの感覚を想像するのは難しいので、著者本人がそれなりの年齢(1966年生まれ)であることは非常に説得力があります。
起業のタネの見つけ方
副業とはいえビジネスである以上、お金を稼がないといけません。ですが、必要以上に構える必要はありません。日常生活や本業から十分にビジネスのタネは見つかります。
どのように「自分のビジネス」を探すか、顧客を見つけてどうプロモートしていくか、などステップバイステップで教えてくれます。
週末起業の注意点
「自分らしくビジネスしよう!」で終わらず、週末起業(というか副業全般)の注意すべき点が書かれてます。
仲間、納税、法人化、資格、など、ビジネスを始めるときは盲目的(考えにくい)になりがちな項目について気づかせてくれます。起業の前に知っておくメリットは大きいですね。
起業の実例
週末起業で展開されているビジネスについて、「小さなビジネスから始めよう」という書き出しで実例を紹介しています。
いずれも専門的ではあるものの、いい意味で「すごすぎない」ビジネスなので、「こういうのでいいんだ」という気にさせてくれます。
刺さったポイント
「大人の・・・」のタイトルの通り、それなりに歳をとった、いわゆる若くない世代に向けた内容ですが、中でもわたしが特に覚えておきたいポイントはこちら。
・大人ゆえのデメリット
・大きな成長を目指さない
・若い人と競わない
大人ゆえのデメリット
歳を重ねたメリット(経験や人脈など)は誰しも考えますが、歳をとることのデメリットを書いてくれるのは親切です。
デメリットは3つ挙げられていて、いずれもなかなかズバッと書かれていますが、特に“起業の適性がない”は辛辣です。
起業の適性があれば、とっくに何か始めているはずです。
まったくその通りですね。副業をすすめる本の中でこういう指摘があるのは新鮮です。
こういったデメリットを踏まえても起業のメリットが大きいこともしっかりかかれているので、起業する際は自分の状況をきちんと理解して展開することが大切です。
大きな成長を目指さない
起業のアドバイスの1つとして「大きな成長を目指さない」ことを挙げています。ビジネスは拡大が前提であることが常識なので意外な指摘ですよね。
もちろんこのアドバイスの理由があります。
仮に大胆な投資をして、失敗したら目も当てられません。うまくいって成長してしまった場合も厄介です。責任が大きくなるからです。
大人であるがゆえの事情ですね。
わたしはこのアドバイスを読んだときに、スっと腹落ちしたと同時に気が楽になりました。
「大きな成長を目指さない」と割り切ることで、「自分の能力に合ったビジネス」を冷静に選べると考えたからです。
できることをできる範囲でやる限りはリターンは限られますがリスクも大きくなりません。
年代に限らずリスクを負えない立場・状況の方は同じように感じるのではないでしょうか。
若い人と競わない
「拡大しない」割り切りと同様に、自分の能力も現実を受け入れよう、ということです。
大人は体力・気力が確実に衰えています。リカバリーに要する時間も長くなります。稼働時間が短くなるのはやむを得ません。無理は禁物です。
と体力面で若い世代と張り合うな、と指摘と同時に
理解力も落ちています。だから、最新のビジネススキルは諦めます。
と、高い感度が必要とする事業もやめるべし、と注意喚起しています。
若い世代にとってスマホを使えない年配の方を理解するのは難しいですが、自分が歳を取らないとわからない感覚なのかもしれません。
一方で「自分は違う」と思うなら信念を貫け、とも書いているので、自分の好きなこと、できることをやるべし、という提案は一貫しています。
まとめ
歳をとっても自分で副業することは特別ではないことを提示してくれる点は、起業・副業を考えている大人世代の背中を強く押してくれます。
若い世代にとっては「今のうちに知れてよかった」という情報が少なからずあります。たとえば体力や理解力についての指摘は若い世代には特にありがたいですし、人脈や経験についても若いうちから意識しておくといざそれらを活用するときの質がぜんぜん違いますよね。
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むしろ若い世代こそ今のうちに読んでおくべき一冊です。